イラン映画って今まで全く興味がなかった、というか観る機会もほとんどなかったのですが、iTunesで偶然見つけたのでレンタルしてみたところ、これがとてもいい映画でした。
ネタバレは書かないので、続けて読んでもらっても大丈夫です。
ストーリー
テヘラン近郊の海辺のリゾート地にバカンスに訪れた男女の中に、セピデー(ゴルシフテェ・ファラハニー)が誘ったエリ(タラネ・アリシュスティ)もいた。 トラブルに見舞われながらも初日は楽しく過ぎ、2日目に事件が起きる。海で幼い子どもがおぼれ、何とか助かったものの、エリの姿がこつ然と消えてしまっていたのだ。
Yahoo!映画より
消えてしまった彼女(エリ)をきっかけに、次々の暴かれる事実から事態は次第に悪化していき、心理戦にもつれ込みます。1つの嘘をきっかけに、坂を転がり落ちるように人間関係の脆さが露呈していく様は観ていて結構体力を使う映画でした。
しかし人間関係の悪化とは裏腹に、映画自体のトーンは全体的に「静か」の一言。BGMが一切なく、強いて言えば聴こえてくる波の音が印象的。ここらへんはノーカントリーのような不気味さもありつつ、そのコントラストがいい味を出しています。
なぜエリは消えてしまったのか。事故なのか、それとも自らの意志で消えたのか。様々な謎を含みながら、観る側にとってもいろんな解釈が取れるラストは見事の一言。
「永遠の最悪より最悪の最後の方がまし」という劇中に出てくるセリフ、この映画のキーになっているので、観る方は是非注目してみてください。彼女が唯一心から笑顔になることができた、子どもたちと凧揚をしているシーンも印象的でした。